ツナギロックの系譜


ツナギといえば、代表的な作業着のひとつ。しかし、少々意外な場所で採用されるケースもある。たとえば、ロックバンドのステージ衣裳として。

ツナギをもっとも早く衣裳に用いたのは、おそらく米国のバンド、DEVOだろう。お揃いの黄色いツナギを着て演奏する彼らの姿は、テクノ・ニューウェイヴの走りとなった斬新なサウンドとともに大きな注目を集めた。70年代後半のことだ。

一方その頃、日本にもツナギをユニフォームとするバンドが登場している。宇崎竜童率いるダウン・タウン・ブギウギ・バンドだ。白いツナギにリーゼントヘア。町工場の兄ちゃんたちがバンドを組んだような、やんちゃなスタイルで人気者になった。

さて、それから30年が経った今も、ツナギ系ロックの系譜は受け継がれている。DEVOを師と仰ぎ、一貫してツナギのユニフォームを着用するPOLYSICS。突き抜けた楽曲とパワフルなステージで、日本はもとより海外にもファンが多い。

仙台にある運送会社の社員が組んだ(という設定の)コミックバンド、仙台貨物のトレードマークもツナギだ。彼らのライブには真っ赤なツナギを着たファンが詰めかけ、会場付近の路上は異様な雰囲気になる。

自由や個性を旗印にしてきたロックがファッション化し、「ロック的なスタイル」が画一的になっていた70年代の終わり。そこに揃いのツナギを着て現れたDEVOの、皮肉なセンスは素晴らしい。彼らはユニフォームという一見没個性なスタイルによって、後世にまで影響を与える強烈な個性を獲得したのだ。

また、ロック創成期から愛用されてきたジーンズが本来は労働者の作業着であることを考えれば、ツナギも実は正統派のステージ衣裳といえるのではないか。そんなふうにも思うのだった。

「Uniform Plus+」2008年

仙台貨物は2009年11月の日本武道舘ライブをもって「倒産」。POLYSICSは2010年3月の日本武道舘ライブを最後にkayo脱退&活動休止。ツナギ系ロックの前途はなかなか多難のようです。求む後継者!

Posted: 月 - 1月 18, 2010 at 09:25 午後          


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