月 - 4月 11, 2011

ひと月


東日本大震災から、ひと月が経ちました。今日も大きな余震がありました。
 

地震と津波で亡くなられた多くの方々、今も行方不明となっている多くの方々、そして家族や家を失い厳しい環境で日々を送っている多くの方々のことを考えると、胸が塞がる思いです。
 
地震の当日は、部屋で仕事をしていました。狭い仕事部屋の天井まで資料を収めた書棚3つが倒れ、照明やテレビが壊れ、しばらくは部屋の中に閉じこめられました。マンションの高層階なので、横揺れが特に激しかったようです。散乱した資料や画材などを片付け、どうにか部屋の床が見えるまでには、半月以上かかりました。

しかし、その程度です。度重なる余震でストレスをためた飼い猫が大きな禿げを作りましたが、その程度です。家族も無事でした。

被災地域の状態を考えると、復旧にいったいどれほどの時間と労力がかかるのか。復興という言葉も簡単に使えないくらい、今も酷い状態が続いているようです。

さらに、「東京電力の原発」という現在進行形の危機もあります。

震災から1週間ほどして、被災地に必要な物資が思うように届いていないというニュースを目にするようになりました。自治体が機能していた阪神大震災と違い、津波によって役場ごと失われてしまった被災地では、救援の要請もできず孤立している場所が多々あるとのこと。そうした孤立被災地を自力で探し、救援物資を届ける活動を開始したボランティア団体をネットで知り、まずは急場をしのぐための物資を集めて送りました。

現在では、自治体ルートでの支援が整いつつある一方で、今も物資が不足している避難所や集落が数多くあるようです。これらの地域へ、行政を経由せずに「直接必要なものを必要なだけ届ける」仕組みが、早稲田大学院MBA講師・西條剛央氏を中心に整えられつつあることも知りました。現地での生のコミュニケーションとTwitterなどのネットワークを結びつけたこの試みは、東京や他の地域で今後起きるかもしれない大災害でも有効な、素晴らしいシステムだと思います。「ふんばろう東日本プロジェクト」

こうした活動に賛同し、自分にできる支援をそのつど考えていきたいと思います。

仕事の話を少し。『進学レーダー』誌で連載中の「私学手帖」では、3月16日に世田谷区の女子校・恵泉女学園高校の卒業式を取材する予定でした。しかし震災の影響で式は中止となり、伝統の儀式「学燈ゆずり」を誌面で紹介することは、かないませんでした (その後、卒業式は29日に無事おこなわれたそうです)。来年でも再来年でも、機会があれば改めて取材ができればと思います。

恵泉では、大学の卒業式も中止になりました。それを受けて学生がTwitter上で挙行した「エア卒業式」は、ちょっとした話題を呼びましたね。タイムラインに講師や学長までが登場して祝辞を贈る様子を見て、地震ですり減った気持ちがずいぶんと癒されました。2010年度恵泉女学園大学エア卒業式2日目


さて、もとからひどく滞っているこのサイトです。少しは頑張って更新したいと、つねづね思っています。

もし、こちらにさっぱり動きのない時は、Twitterのほうを覗いてみていただければさいわいです。制服以外のことも、というか制服と関係ないつぶやきのほうが多いですが、いろいろ言ってますので。気が向きましたら、どうぞよろしく。http://twitter.com/gooitch

Posted at 09:43 午後    

月 - 5月 31, 2010

Perfume 11・3 東京ドーム単独公演


テクノポップユニット「Perfume」が、11月3日に初の東京ドーム公演を行う。結成10周年、メジャーデビュー5周年を迎えた3人にふさわしいメモリアルステージ。女性アイドルユニットの東京ドーム単独公演は、3人があこがれていたSPEEDが99年に行って以来11年ぶりとなる。(スポニチ Sponichi Annex ニュース  2010年05月31日)

とうとうここまで来てしまったか…という感じです。

会場は「音の遅延がいっこく堂レベル」「ステージのアーティストが米粒どころか砂粒」などと定評のある東京ドーム。

アイドルは近くで見てなんぼ。だからドーム公演なんて行かねーよ。という意見も正しいです、多分。とくにPerfumeのライブは、あの素晴らしくキレた独特のダンスを生で見る楽しみが大きいだけに。

ただ自分としては、たった4年前に文字通り手の届く距離で歌って踊っていたPerfumeが、今では砂粒にしか見えないほどの場所でライブをするまでに大きくなった、という事実のほうがうれしい。それを確認するために、東京ドームに行きたいと思います。砂粒上等。

ひとつだけ要望を言うなら、ライブを見ながらプロ野球と同じ「ビアおんぶ」を担いだ女の子たちから生ビールを買いたいかな。10周年のお祭りだから、そのくらいの気分で楽しみたい。

Posted at 10:41 午後    

火 - 6月 9, 2009

ゲンスブール・ナイト&デイ


サエキけんぞう氏が主催するイベントは、毎回いろんなジャンルのミュージシャンが登場するのが楽しみです。今回の顔ぶれは、さらに多彩でした。

「お色気スパイ歌謡」というキャッチフレーズで昭和レトロな雰囲気を押し出した、その名はスペィド。MySpaceでは見ていたけれど、ライブは初めてです。なかなかキュートで楽しいステージでした。鴬谷の東京キネマ倶楽部でやったりすると、すごくはまるでしょうね。セクレタリ・ア・ゴーゴーズという4人組の女の子が着ていた、ベレー帽に吊りスカートのユニフォームもgood。

シャンソンを生で聴く機会がほとんどないままこの歳まで来たのは、シャンソン独特の歌い方(特に日本語の)がどうも苦手という理由からでした。でも、この日聴いたクミコさんのシャンソンは、ふしぎと素直にまっすぐに、気持ちの中に入ってきました。歌詞を自分の過去や現在の生活に重ねて聴いてしまうのは、シャンソンがそういうものなのか、自分が歳を取ったせいなのか。ともあれ、すばらしい歌声でした。

サエキけんぞうとClub Je t'aimeは、ゲンスブール作品を中心にフレンチ・ポップスのナンバーを演奏。この日クミコさんも歌ったゲンスブールのデビュー曲「リラの門の切符きり」では、サエキさんがフロアを歩きながら、切符を切ってお客の口にくわえさせるという、いつものパフォーマンスがありました。この曲では駅員の帽子をかぶることが多いようですが、この日はオープニングから最後までスシのかぶり物。スシ頭シリーズの3代目、「正面から見たわかりやすさ」に配慮したという鉄火巻きのかぶり物は、マグロのサシの入り方もいい感じです。

それにしても、自由でカオスなイベントでした。フレンチというくくりも、もはや怪しげ。ゲンスブールやフランスといったキーワードがどこかにあれば、あとは何をやってもOK? 本格的なシャンソン歌手とオタ芸炸裂のアイドルが同じステージに立つイベントというのは、ほかではちょっと考えられません。食い合わせを無視したいろんな具材を豪快に串刺しにして焼き上げた、謎のフレンチ風焼き鳥という感じ。でもなんでか旨いんですよね、これが。


「Gainsbourg Night&DayonSunday」 2009/06/07 渋谷 SECO LOUNGE
クミコ、エイプリルズ、その名はスペィド、Baguette☆Bardot(a.k.a-toastgirl)、黒崎真音、ピョンガルー(うさぎのなみ平とカンガルー鈴木)、田ノ岡三郎、松蔭浩之、elect-link、原田夏実、サエキけんぞうとClub Je t'aime、DJ コウキ、きうぴい
 
 






Posted at 03:05 午後    

月 - 5月 11, 2009

Perfumeワンマンライブ 「ディスコ!ディスコ!ディスコ!」


5月9日・10日。武道館以来のワンマンライブ。待った甲斐のある、楽しいライブでした。

大きな会場にふさわしい、大がかりで完成度の高いエンターテイメントでした。同時に、小さなライブハウスと同じように、3人の気持ちの近さを感じたライブでもありました。

この日初めて聴いた新曲「NIGHT FLIGHT」がまた、素晴らしい。

開場を待つ代々木第一体育館前の広場は、Perfumeのコスプレをする女の子やら男の子やら、そろいのオリジナルTシャツを着て盛り上がるファンやらで、お祭り状態でした。子供からお年寄りまで、客層の広さはディズニーランドなみ…というには男女比がちょっとおかしいけど。まあでも、以前に比べたら本当に女性ファンが増えましたね。

写真は会場前に展示されていた、エスキモーPinoのCMで3人が着ているCAのユニフォーム。こうして見ると、ケープの形がそれぞれ微妙に違うことがわかります。現実の制服にはなかなかない、ぜいたくな仕様です。

9日はライブが終わってから、Brussels 原宿店へ。ベルギービールと、マヨネーズをたっぷりつけて食べるフライドポテトが美味い店。

Brusselsの1号店が神田にできた当時は、仕事場が近所にあったので、ときどきビールを飲みに行っていました。原宿店には、近くのライブハウスでPerfumeのワンマンライブを見た帰りに寄ったのが最初です。このBrusselsが、去年からアミューズの子会社になっていたことを、最近知りました。

9日の夜は、自分も含めてカウンター席にいた数組の客が、全員Perfume帰りでした。

Posted at 04:36 午後    

金 - 3月 6, 2009

Perfumeの新曲


TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」でPerfume の新曲「ワンルーム・ディスコ」を初聴。とりあえず思ったことを適当に。

イントロの印象は、ミラーボールの下で右手を挙げてスタンバイするトラボルタ(テクノカットなのでたぶん偽物)。そいつを背中から蹴倒して強引に割り込んでくる3人のボーカル。かしゆかの「ワンルーム・ディスコ」という発声がやばい。

サビはPerfume「マカロニ」や「願い」でおなじみ、日常モードの中田ヤスタカらしい、ほっこりした旋律。しかし後半は、わざとリズムを転ばせるようなドラムをはじめ、飛び道具的な音の数々が「ただの良曲では終わらせないもんね」と意地を見せる。

全体としては「love the world」同様、軽いPOPS感に油断して食いついたリスナーの耳を強力なかえしで引っかけ釣り上げる、仕掛けたっぷりの変態曲という感じ。爆釣希望。

ワンルームという言葉から、たぶん1人暮らしの曲ではないかと思ってはいたけれど、1人の前が実家暮らしではなく2人暮らしとは意外でした。


改訂追記:録音を聴きなおしてみると、やっぱり後半のドラムはおかしい。妙にすべってる感じが1人暮らしの空元気っぽい? 変な曲です。

ここで試聴できます

Posted at 01:02 午前    

月 - 3月 2, 2009

NEOアイドルフェスティヴァル


2月28日、鴬谷の「東京キネマ倶楽部」で開催された『NEOアイドルフェスティヴァル TOgether』 に行ってきました。サエキけんぞう 氏主催の、いわゆる「地下アイドル」のイベントです。


出演は、Mizuka、星崎なみ、城奈菜美、マリードール。Cutie Pai(ゲスト)、桃井はるこ(特別ゲスト)、ディアステージ・オールスター。DJ:ギュウゾウ(from 電撃ネットワーク)。

出演者も観客もおそろしくテンションの高い、最近になく面白いライブでした。そして、ライブを見ながら、地下アイドルのステージを初めて見たときのことを思い出しました。

それは、2006年11月。中野区のホールでおこなわれたライブでした。専門学校の学生が企画した、無料の地下アイドルイベント。秋葉原の路上で歌っているような女の子たちと一緒に、今をときめくPerfume も出演していました。2年と少し前は、彼女たちもそういうポジションだったんですね。ついでに言えば、本格的な「オタ芸」を観たのも、このときが初めてでした。

アイドルの歌に合わせ、観客が激しく踊ったり飛び跳ねたり掛け声をかけたりするオタ芸。テレビやネットの動画などで知ってはいましたが、本物はかなりの迫力でした。運動があまり得意そうには見えない草食系の若者たちが、サイリューム(ペンライトのようなもの)を振り回しながら、ものすごい速さで奇妙な踊りを踊る。外見を裏切る彼らの身体能力の高さに、驚いたものです。

このとき、もうひとつ気になったことがありました。それは、オタ芸を披露するファンと、アイドルとの関係でした。ときにステージに背を向け叫び踊り狂う最前列のオタ芸集団と、そのすぐそばで粛々と歌うアイドル。ライブはそれなりに盛り上がっているのに、何かが噛み合っていないような、変な距離感がそこにはありました。

世間的にはまったく無名なアイドルにしてみれば、世間的に見ると明らかに奇異なオタ芸も、貴重なファンの応援には違いないのでしょう。たとえそれが、ステージの上と下のどちらが主役かわからないほど、派手で身勝手な行為であっても。この日のライブで感じた「オタ芸を歓迎はしないけれど拒絶もしない」という微妙な空気。それは、地上に出たくても出られない地下アイドルの、若干の諦めの気持ちが生み出しているようにも思いました。

さて、今回の『NEOアイドルフェスティヴァル TOgether』は、自分にとっては中野以来の大きな地下アイドルイベントでした。この間の地下アイドルやオタ芸の動向については、ほとんど何も知りません。ただふたつのイベントを比べることしかできませんが、とにかく、この日に見たライブは、2006年とはまったく別のものでした。

まず意外だったのは、出演者がみんなオタ芸に対して肯定的なことでした。というよりむしろ、オタ芸大歓迎。アイドル自らオタ芸を積極的に煽り、一緒に振りをやったりします。さらには、ファンが気持ち良くオタ芸が打てるよう最適化されているとしか思えない、楽曲の構成とパフォーマンス。それに応えてAメロ・Bメロ・サビのそれぞれに、鉄壁のタイミングで繰り出されるオタ芸の数々。アイドルが聴かせどころで舞台の張り出しに飛び出すと、ファンが一斉にまわりに押し寄せ、サイリュームの光の海がアイドルの身体を包み込む…。

この様子を私はずっと2階席から見ていたわけですが、これは正直、感動的な眺めでした。いや、オタ芸自体がどうかと言えば、それはやはりキモいです。自分でやりたいとも思いません(身体が動かないだろうけど)。しかし私はこの日、オタ芸という行為を媒介に、ステージの上と下がひとつに溶け合う瞬間を、何度も目撃しました。それはそれは美しい、なんというかキモ美しい光景でした。ライブとして極上の、幸せな空間だと思いました。はまるべきものが、はまるべき場所に、がっちりはまるさまを見るのは、実に気持ちがいいものです。

この日、ステージに登場したアイドルからは、ある種の気概と潔さを感じました。2006年の中野で見たのが「地上未満の場所でやむを得ず雌伏の時を過ごす地下アイドル」だとしたら、2009年の鴬谷で見たのは「地下という場所でこそ可能なことをファンと共にやり切る地下アイドル」だったのかもしれません。サエキけんぞう氏が言う『エッジが立っている』 という状態は、そういうことなのかもしれないと、地下アイドル門外漢なりに納得しているところです。

そんなわけで、素晴らしいライブでした。古いキャバレーをそのまま使ったライブハウスの雰囲気は良かったし、楽しみにしていたCutie Paiも見られたし。サエキ氏がプロデュースを手がけた古川未鈴ちゃんの歌も聴けたし。

そしてもうひとつ、何より圧倒的だったのが、桃井はるこ さんでした。彼女については、かつて「アキハバラブ」という曲でPerfumeとコラボを組んだことがある「元祖・地下アイドル」という程度の予備知識でしたが…参りました。なんですかね、あのかっこよさは?

サイリュームをぶらさげたトランジスタ・メガホンを手に、赤ずきんちゃんのようなフリフリの衣裳で登場した瞬間、ステージになぜか漂うやや不穏な空気。見た目は可愛いのに、フロア全体を制圧するようなラスボス的存在感。アニメ声だけどドスの利いた、アジテーション気味のMC(しかも面白い!)。オタ芸を自在に煽り盛り上げる手際の良さ。そして全盛期の戸川純を思わせる、広い音域を駆使した歌唱力。

本当に自分でも訳がわからないけど、あまりに凄すぎて、少し泣きました。このかっこよさをひとことで言えば、なんだろうな。やっぱりパンク? まあよくわかりませんが、とにかく凄かった。オタ芸をやる予定はまったくないものの、彼女のライブには、ぜひまた行ってみたいと思いました。

Posted at 01:29 午前    

土 - 1月 24, 2009

近況報告


思い立って近況報告
 

■雑誌『進学レーダー』(みくに出版) の連載「私学手帖」継続中。
現在発売中の号は、北区にあるミッションスクール女子聖学院と聖学院の姉妹校レポート。そして聖学院ファミリーがクリスマスの時期におこなう、ツリーの点灯式の様子を描いています。
いつもは見開きの連載ですが、今回は特別に3ページとなっています。

■「国民とともに防衛を考える情報誌」『MAMOR』(扶桑社) 。3月号の「新春初夢企画・こうだったらいいのにな 夢の自衛隊、出動!」というコーナーに、「北海道限定・ご当地迷彩服」というテーマでイラストを描きました。3月号の表紙は、熊田曜子さんです。

『オール読物』(文藝春秋社) 、酒井順子さんの『着ればわかる!』という連載に、引き続きイラストを提供中。現在発売中の2月号では、酒井さんがキャバクラ嬢に変身しています。

『週刊ポスト』(小学館) の極小イラストエッセイ『街のツボ』継続中。


『ユニフォームプラス』(ダイセン株式会社) で、去年から「森伸之のユニフォーム散歩」という連載が始まっています。
発売中の号は「ツナギ系ロック」の系譜について。ツナギをステージ衣裳に用いるバンドの歴史を、ざっくりと書いています。また別のページでは、『コスプレ』の著者三田村蕗子氏、デザイナーの吉井秀雄氏との、ユニフォームについての対談が掲載されています。


Posted at 05:27 午後    

金 - 6月 6, 2008

Perfume全国ツアー


6月1日、横浜BLITZでPerfume「GAME」ツアーを見てきました。最終日にふさわしい、すばらしく充実した楽しいステージでした。

1700人の観客の心をがっちりつかんで、小さなライブハウスと同じような一体感と熱気を作り上げる、3人の歌とダンスとトークの力。今さらながら、これは本当にすごい。昨年末のZepp東京カウントダウンライブではステージの広さを持て余し気味だったものの、今ではすっかり空間を使いこなし、むしろ貫録さえ感じさせるパフォーマンスでした。Perfumeは成長してますね。どんどん変わっている。

そのいっぽうで変わらないこともあって、たとえば長くてゆるいMC。話すほうも聞くほうも着地点が見えないまま迷走するフリートークはPerfumeライブの名物で、これを楽しみにしているファンも多いと思います。しかし今回は、いつものトークに、グッズの紹介を兼ねた連続寸劇のコーナー(ツアー10公演分のあらすじも含めて全11話という超絶に長い小芝居)が加わったことで、MCのボリュームはさらに大幅増量。3時間弱のライブで、実に1時間以上がMCという状態でした。

なにしろ芸達者な彼女たちなので、MCはそれはもう面白い。面白いけれど…長い!! もちろん、Perfumeの力量からすれば、MCを必要最小限に抑え、歌とダンスをテンポ良くつないで手堅く盛り上げるステージを作ることも簡単にできたはずです。にもかかわらず、ミュージシャンのライブとしては明らかにバランスのおかしい寸劇のパートを、あえて入れたのはなぜか? 
 
その理由はたぶん単純で、Perfumeは「Perfume自身がそのとき一番楽しいこと」をやりたかったからなんでしょう。

「Perfumeが楽しくなければ、お客さんも楽しくないけん」
NHKで放送されたカウントダウンライブのレポートには、ステージの袖でこう気合いを入れる3人の姿がおさめられていました。その言葉通り、3人は大晦日の夜に素晴らしいライブを見せてくれました。

なによりもまず、自分たちが楽しいステージをやりたい。そんなPerfumeを好きになって楽しんでほしい。ときどき微妙なことにもなるけど、それも込みで丸ごとよろしく! 今回のツアーに限らず、Perfumeのライブからは、こうした覚悟というか、ファンへの切実なお願いの気持ちのようなものが伝わってきます。

ライブに集まったファンの好意を信じているからこそ、Perfumeは全力で好きなことができる。またファンもそれを「好きにやっていいよ全部OKだから」と受けとめる。両者のそんな関係が、Perfumeのライブに独特の幸せな空気を生み出しているのではないか。フロアの空調ですっかり冷え切った汗だくTシャツのすそをつまみ、延々と続く3人の会話を見守るファンの、まるで温泉につかっているかのような幸せ全開の笑顔を見て、そんなことを思いました。

中田ヤスタカが手がける強力なトラックと、鍛え上げられた3人のパフォーマンス。興味のなかった人も思わず引き込まれる上質なエンターテイメントとして、アイドルとしては異色の間口の広さを持つPerfumeのライブ。「このクオリティはもはやアイドルではない。アーティストと呼ぶべきだ」などと言う人もいます。しかしPerfumeのライブの核を支えているのは、実は「好きだから全部OK!」という、きわめてアイドル的な暗黙の了解なのかもしれません。

Posted at 07:53 午後    

水 - 4月 16, 2008

Perfume『GAME』


Perfume のセカンドアルバム『GAME』 を買いました。
昨日から聴き込んでますが、これ、ちょっと凄いアルバムです。

一昨年の夏に出た最初のアルバム『Perfume~Complete Best~』は、アイドル色の強いインディーズ時代の曲からテクノ・ハウス色を強めたメジャー以降の曲までが幅広く収められたものでした。

それに対して今回のアルバムは、一昨年の12月に発売された曲から書き下ろし曲まで、わずか1年余りの期間に作られた曲を集めたもの。にもかかわらず、楽曲の振れ幅がとても大きいことにびっくりしました。特に書き下ろし曲はファンの予想を超えて、ありえない角度で突き進んでいる感じです。

重低音が暴れまくるダークで攻撃的な曲があるかと思えば、むしろ生バンドが似合いそうな甘いラブソングもあり。以前から目立っていた「声の楽器化」も、曲によってはさらに激しくなっています。中田ヤスタカ&Perfume、やりたい放題。

アイドルだからとか、知名度がまだ低いからとか以前に、こんな音作りのアルバムがはたして売れるんだろうかと、聴きながら心配になりましたが…。

売れてるらしいです。えっらい勢いで。新宿のタワレコあたりでは『GAME』を手にした客でレジ前が大混雑しているとのこと。で、さっきオリコンチャート見たら、デイリーでぶっちぎりの1位? わけわからん。どうなっちゃってんだよ。ベランダ立って胸張っちゃうよ?

たまたまYouTubeでPVを見かけ、何となくアルバムを買ったらインストアライブの券をもらい、初めてミニライブを見たのが2006年の夏。以来、都内でライブがあれば何を措いても見に行くほどのファンに成り果て、現在にいたるわけですが。正直、彼女たちがここまで昇りつめるとは、想像できませんでした。「ポリリズム」でのブレイクと続く「Baby cruising Love/マカロニ」のヒットを喜んだことさえ、なんだか遠い昔のような気がします。

いや、オリコンはまだウイークリーの結果が残ってるのか。でもとりあえず、めでたい。そしてうれしい。
何より、Perfumeの3人がこのニュースを喜んでいるだろうと思うとうれしい。

本当に、おめでとうございます。

Posted at 10:07 午後    

木 - 4月 3, 2008

CLO CLO Made In Japan


サエキけんぞう氏 主催の「テクノエレガンスVol.16」に行ってきました。60〜70年代フランスのポップスター、クロード・フランソワのトリビュートアルバム『CLO CLO Made In Japan 』発売記念&ゲンスブール生誕80周年イベント。場所はZepp東京の上にあるTOKYO CULTURE CULTURE。

サエキけんぞう&クラブ・ジュテームのステージは、カマンベールチーズの木箱に入った名盤『カマンベール&スシ 』で知って以来お気に入りの「リラの門の切符きり」や「陽のあたる月曜日」などが聴けて大満足。今回のアルバム収録曲では、「マグノリア・フォーエヴァー」の歌とアレンジに痺れました。

今回もうひとつ楽しみだったのは、前から気になりつつ一度も見たことがなかったCutiePai 。「おもちゃの世界からやってきた魔法の人形3人組」だそうですが、いや可愛いかったです。音も歌も振り付けも可愛いしカッコいい。ステージでは3人とも手の先をピンと反り返らせているのが演説中の鳥肌実みたいでキュートだったけど、これはやはり「おもちゃ」だからでしょうね。いわゆる人形振り。

曲はテクノあり歌謡曲ありロックありの、まさにおもちゃ箱状態でした。「おもちゃという設定さえあれば、どんなジャンルの曲でも自由にできるのが素晴らしい。音楽性に縛られるのはもう古いですね」というサエキさんのコメントに納得。そのあとCutiePaiのメンバーに「設定じゃなくて本当におもちゃなんです。そこはよろしくお願いします」と注意を受けていましたが。

そうは言っても、ライブが終わったあとで物販のテーブルに並んだ3人は、どう見ても普通に可愛い人間の女の子。でも、手の先がときどき思い出したようにきゅっと反り返ったりする。「人間界に長くいると忘れがちだけど、実は人形な私たち」みたいな感じで、面白かったです。

先にコンセプトを固めて、それを音楽活動に落とし込む。この系譜では「退化人間」DEVO という偉大な金字塔があり、四半世紀を経た今もDEVOを超えるバンドは現れていない、と思います。CutiePaiの場合は、むしろそのへんが若干ユルめなところも味かなと思いました。

物販で、CutiePaiの『ミュージック・ランデヴー』と『CLO CLO Made In Japan』を買って帰りました。CutiePaiはシングルがやたらたくさん並んでいたので、メンバー「まゆちゃん」の「テクノっぽいのが好きならこれ」というお薦めで、とりあえずこの1枚。でもほかの曲も聴いてみたくなりました。5月に出るというアルバムが楽しみです。

そして『CLO CLO Made In Japan』、これは…いいですよ!

アルバムの曲はどれも粒ぞろいですが、今のところ特に気に入っているのは、「マグノリア・フォーエヴァー」。それと、ぶどう÷グレープの「うらら・うららか」。ボーカルくみんこちゃんの声が可愛いすぎる。反則です。そしてムーンライダーズのかしぶち哲郎氏が歌う「君が恋におちた時」。1983年のソロワーク『リラのホテル』ではエロい歌声にくらくらしたものですが、今回はさらに熟成の進んだブルーチーズのような雰囲気にやられました。

60年代のアイドル歌謡から渋谷系まで、日本の流行歌に大きな影響を与え続けてきたフランスのポップス。サエキけんぞう氏が個性的な日本人ミュージシャンと作った『CLO CLO Made In Japan』は、その抜き差しならない関係を最新の音で再確認できる、刺激的なアルバムだと思います。日本よりひと足先にフランスでも発売されたそうですが、時代を超えて逆輸入されたフレンチポップスが、現地の人の耳にどんなふうに聴こえるのかも知りたいところです。


「テクノエレガンスVol.16」2008/04/02  TOKYO CULTURE CULTURE 
出演:サエキけんぞう&クラブ・ジュテーム、トーストガール、ジーニアス、チェルシー
ゲスト:CutiePai 
DJ:ELEKTEL、☆コウキ☆

Posted at 11:07 午後    

月 - 2月 18, 2008

近況報告


このページもすっかり放置状態でしたが、これからまた、ぼちぼち始めようと思います。まずは近況など。

■雑誌『進学レーダー』(みくに出版) の連載『私学手帖』が、おかげさまで60回を越えました。この連載は、おもに中高一貫の私立校に取材に行き、生徒と先生に制服や学校の話を聞いて、イラストと文章で学校紹介をするというものです。約5年間で、取材した学校は53校。一昨年の10月には『私学制服手帖』という名前で単行本も出させていただきました。

 取材対象は首都圏の私学がメインですが、年に1度くらいは地方にも行っています。去年は大阪の金蘭千里、兵庫の神戸海星女子学院、そして「日本最初のセーラー服」(右のイラスト)で話題になった京都の平安女学院を取材しました。現在発売中の3月号には、神戸海星が掲載されています。
『進学レーダー』は、全国の(大きめな)書店で、毎月15日ごろ発売です。
 
 
■現在発売中の『MAMOR』(扶桑社) 3月号に、女性自衛官のカラーイラストを描いています。この雑誌は防衛省の編集協力によって作られている「国民とともに防衛を考える情報誌」。3月号の表紙は、ほしのあきちゃんです。
収録イラストは
 
 陸上自衛隊・常装冬服/迷彩服
 海上自衛隊・常装冬服/常装第2種夏服
 航空自衛隊・常装冬服/常装第3種夏服

 個人的に気に入っているのは、今年の3月に14年ぶりにモデルチェンジする航空自衛隊・女性自衛官の制服。色も形も、ずいぶんスマートになりました。

 
■去年の12月から『オール読物』(文藝春秋社) にイラストを描いています。酒井順子さんの『着ればわかる!』という連載に、イラストを添える仕事です。
『ど制服』(朝日新聞社)という著書もある酒井さんが、世の中にあるいろいろな制服や仕事着を着まくるというもので、1回目は名門女子校のセーラー服、2回目はJALのCAユニフォーム、最新号の3回目(3月号)では、宝塚の舞台衣裳とメイク(男役)に挑戦しています。

『着ればわかる!』は、その服を着ている人にしかわからない業界事情的な情報としての面白さに加えて、読者が酒井さんの文章を通して「疑似コスプレ」を体験できるという面白さもあり、全体としては「服装」という角度から切り込んだ女性論にもなっているという、複雑な味わいのエッセイです。

 さらに、酒井さん自身がそれまでまったく縁のなかったいろいろな服に袖を通すときの戸惑いと嬉しさが、上品な文章からじんわり伝わってくるのも魅力で、イラストではそのへんの「テンション抑えめだけど内心わくわく」な感じを少しだけでも表現できればいいなと思いながら、毎回楽しく描かせていただいています。
 
 
『週刊ポスト』(小学館) の活版最終ページに『街のツボ』というイラストを描いています。街の中で見かけたちょっと変な人物、変なモノを紹介するというこの小さなイラストのコーナーは、今年でもう14年になります。かつて、連載をまとめた『東京路上人物図鑑』(小学館)という単行本も出させていただきましたが、これは制服関係の仕事が多い私にとって、現在までで唯一の「制服以外の本」となっています。


■その他イラストや文章、コメントなどいろいろ。


■暇なときは、そのへんの街なかをぶらぶらしています。東京の道路や建物の下に消えた中小河川の痕跡をたどるという後ろ向きな趣味は、地味に継続中。



とりあえず、そんなかんじです。
 
 

Posted at 01:47 午前    

月 - 6月 5, 2006

「ご帰宅料というシステム」


先週、平日の昼間から秋葉原のメイド喫茶に行ってきました。しかも3軒ハシゴ。イイ歳して何やってんだと思わないでもないけれど、この歳になれば何をやってもイイ歳なので気にしません。

 
実はメイド喫茶は初めてではなく、3年くらい前、その筋の友達に誘われて「アキバ初のメイド喫茶」を見物したことがありました。場所はアニメグッズやコスプレ用品をあつかうビルの売り場の一角。「とりあえず作ってみました」風の簡素な喫茶コーナーなのに行列ができるほどの盛況ぶりで、メイド需要の高さに驚いたものでした。
 
その後、秋葉原のメイド喫茶は伸び続ける需要に応じて着々と増殖し、今では10数店が営業しているようです。メイド関連としては、ほかにもメイドリフレクソロジーやメイド美容室やメイドクラブやメイドアクセサリーショップ…。メイド服着てりゃ何でもありですか、この街は。
 
で今回は、やはりメイド喫茶に興味のある友達とふたりで巡ってみたわけですが、あいかわらず人気ですね、メイド喫茶。ただ、客層は3年前とはだいぶ違っているようです。コアなアキバ系だけでなく、普通のお客さんも意外と多い。女性客もたくさんいます。学校帰りの女子高生の団体もいたりして、このへんは『電車男』とかを観て観光地気分で遊びにきたというかんじでしょうか。工務店の作業服を着た二人連れ。工事の合間にメイド喫茶で一服とは、なかなか優雅な午後のひとときです。
 
そして肝心のメイドたちですが、こちらも3年間で順調に接客ノウハウが蓄積されているようでした。あいさつは店によって若干違いがありましたが、基本的に「帰宅したご主人様をお迎えする」というスタンス。「お帰りなさいませ、ご主人様」もしくは「お帰りなさいませ、お嬢さま」。店を出るときには「いってらっしゃいませ」。ご丁寧なおじぎの角度も実にメイドらしく、背骨がむず痒くなるような慇懃さを身に付けています。
 
もちろん、メイドにかしずかれる以上、それなりの出費は覚悟しなければいけないようです。飲食代のほかに「ご帰宅料」と称するチャージを取る店もあります。面白いですね。ご帰宅料ですよ。お金を払わないとご主人様、自分の家に入れてもらえないんです。そんなお屋敷がどこの世界にありますか? こういう馬鹿っぽさは、たまらなく胸に響きます。
 
ご帰宅料を取られる店では、紅茶を頼みました。メイドがフロアに両膝をついてティーポットから紅茶を注いでくれ、砂糖を入れて丁寧にかき混ぜてくれます。悪い気はしません。
 
テーブルの上には、ホテルのフロントにあるような呼び鈴が置いてあります。せっかくなので、使ってみたいところです。一杯目の紅茶を飲み終わったところで、これをチリンと振ってみました。すると「お呼びでしょうか、ご主人様!」メイドがすっ飛んできて、足元に控えます。「砂糖を」と命じると、すぐに砂糖壺を持って戻ってくる。なかなか従順なメイドっぷりです。
 
目の前には、紅茶のポット。飲みたければ自分で勝手にお代わりすりゃいいんだけど、かりにもご主人様です。ここは試しに、あえて腕組みなどして待ってみます。すると、すかさず気を利かせたメイドが「ご主人様、紅茶をお入れいたしましょうか?」。再びポットの紅茶を注ぎ、砂糖を入れて丁寧にかき混ぜてくれる。「ご苦労であった」と満足するご主人様。よしよし、だんだんメイドのあしらい方が飲み込めてきましたよ私も。
 
 
と、まぁこういう調子で、まんまと相手の術中にはまっていくわけですね。よーくわかりました。
 
 
術中にはまるといえば、こんな光景も見ました。ある店でシーザーサラダを注文した男性客。サラダがテーブルにサーブされると、メイドが上からチーズをかけてくれます。ところがこのチーズが固すぎて、非力なメイドの手ではおろし器のハンドルが回らない。そこでやむを得ずご主人様の助けを借り、ウェディングケーキの入刀よろしく二人一緒にチーズおろしの共同作業です。
ご主人様、心底うれしそうでした。そうでしょうとも。このシチュエーションを「萌え」と呼ばずして何と言おう。その日のうちに2chあたりのしかるべきスレに「シーザーサラダを頼んだ俺は勝ち組!」とか書き込む彼の姿が目に浮かぶようです。
 
しかし「これはどうなんだろう?」とも思います。チーズはその日、たまたま固かっただけなのかと。ひょっとしてチーズおろしの一件は、この店でシーザーサラダを頼むと自動的に発生する隠しイベントなのではないか? そんなふうに邪推してみたくもなるのです。もしそうだとすると、メイドもかわいい服着て、存外したたかではありませんか。まぁ本当のところは、わかりませんが。今度、頼んでみようかなシーザーサラダ。
 
そんなわけで、メイド喫茶はなかなか面白い体験でした。コスプレものにつきまとう痒さと馬鹿らしさも込みで楽しめる人なら、特にメイドが好きでなくても行ってみる価値はあるかもしれません。
 
 
#メイド喫茶に行った帰りに、近所のバーでその話をしたら、店を出るとき店員が「いってらっしゃいませ」と言ってくれました。
 
##数日後、同じバーに入ると、別の店員が「お帰りなさいませ」とお出迎え。よしよし教育が行き届いてるなと思っていたら、「ご帰宅料として500円いただきます」と真顔で言われてしまいました。
どうも余計なことを教え込んでしまったようです。 
 
  
(2005年12月の日記を再掲)

Posted at 04:45 午後    


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