「セーラー服は水兵服」  トンボ総合展示会


大手学生服メーカーの株式会社トンボが毎年この時期に開催している、スクールウェアの展示会を取材。自社ブランドとして「トンボバーシティメイト」「トンボプライマリー」、DCブランドとして「コムサデモードスクールレーベル」「オリーブデオリーブスクール」「ヒロミチナカノスクール」などを有するトンボが、学校関係者向けに制服デザインを提案する展示会です。


会場では、幼稚園から高校生までを対象にした最新モデルの制服の展示を中心に、実際に採用が決まった制服の展示、全国のモデルチェンジの傾向、先生や生徒に好まれるデザインのアンケート結果などが展示されていました。

女子の制服の傾向としては、相変わらずブレザーが人気。かつてよく見られたダブル前のブレザーやスペンサー丈のジャケットは減り、オーソドックスなシングルのブレザーが増えたとのこと。

男子もやはりブレザーが主流になっているものの、その一方で詰襟タイプも健在。新しい素材の採用や、襟の部分の作りを見直すなど、時代に合った改良が評価されているようです。

女子に人気が高いというのも、詰襟がここまで生き残っている理由かもしれません。学校取材の際、女子生徒に「男子の制服はどんなタイプが好み?」と聞くと「学ラン!」という答えが一番多く返ってきます。理由は「かっこいい」「男らしい」「硬派な感じがいい」など。もっとも、男子に古風なイメージを求めるわりに、自分たちも古風なセーラー服を着たい、という気持ちはあまりないようです。デザインの統一感に気を遣う共学校のモデルチェンジでは、このへんが難しいところでしょう。

展示会場を見ても、ブレザーに比べるとセーラー服の展示は少なめ。しかしそんななかで、目を引いたデザインのセーラー服がありました。

ひとつは、岩手県立岩谷堂高校の制服です。2009年度、県立岩谷堂農林高校との統合を機にモデルチェンジされた制服は、男子が詰襟、女子がセーラー服。上品なチャコールグレーのセーラー服は、センターファスナータイプ。セーラーカラーとネクタイに刻まれた白と茶色の2本ライン、V字の切り返しが大きく目立つ胸元、さらには通常のセーラー服のようなライン入りのカフスがない袖口など、オーソドックスに見えて、地味にユニークな仕事がしてある面白いデザインです。(岩谷堂高校ホームページ・岩谷堂高校通信バックナンバーで制服が見られます)

もうひとつ、コムサデモードブランドのセーラー服は、「水兵服としてのセーラー服」をイメージさせるデザインに魅かれました。

現在の女子中高生が着ているセーラー服は、水兵服が子供服や婦人服などのアレンジを経て学生服になったもの。セーラーカラーの形や構造などを見ても、もともとのデザインとはかなり異なっています。

それに対して、今回提案されていたコムサデモードのセーラー服は、角度の深いセーラーカラーに大きめの胸当てというバランスや、中着のセーラーカラーを上着のセーラーカラーの上に出す水兵服独特の2重襟構造を、2色の生地の使い分けで表現しているのが特徴。女子学生服としてのセーラー服の中に、そのルーツである水兵服の記号をスマートに織り込んだデザインとなっています。

今年発表されたばかりで採用校はまだ決まっていないという、この個性的なセーラー服。実際に街の中で目にする日が楽しみです。もし採用校が共学だとしたら、男子の制服は? 学習院や佼成学園のような、蛇腹入りボタンなしの「海軍士官タイプ」の詰襟学生服。これで決まりですよね、やっぱり。

※ちなみに画像は、そのセーラー服ではありません。以前ある雑誌から「近未来の女子校制服を描いて」と言われ、あえてレトロで少し武骨なセーラー服を描いたもの。2重のセーラーカラーと丈の長い上着と先の方で結んだネクタイで、水兵服っぽさを出そうとしています。ベルトはかの有名な、お茶の水女子大学附属中学のベルト付きセーラー服から。まあ、実際には無理なデザインですね。あたり前の話ですが、コムサデモードのほうがはるかにスマートで現実的です。
 
(トンボ総合展示会 6月10日 六本木・泉ガーデンギャラリー)
 
 
 

Posted: 水 - 6 月 10, 2009 at 10:50 午後          


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